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Channel: Yeh Man! バングラデシュ編
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失われた土地と忘れ去られる被害

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(土地が失われ、堤防で暮らす人々)

サイクロン「アイラ」がバングラデシュを来襲したのが2009年5月。それから一年以上経っても、被災した沿岸部の復旧復興は円滑には進んでいない。被災した南西部は特に標高が低いため、ポルダーと呼ばれる輪中堤で囲まれているが、昨年の被害でこの堤防が決壊し、輪中堤の中に水が入り、人々の土地は失われた。残った人々は被災後から堤防の上に小屋を作り、電気水道はなし、飲料水は雨水を集めるという生活を過ごしている。政府からの配給は1世帯に対し、月20キロの米のみ(家族構成が何人だろうが)。
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(丸い穀物庫はかつてここら辺が、水田だったことを示している)

バ政府は被災した47のポルダーの内、41を改修済み(脆弱性が未だあるまいがなかろうが)。写真のような状況が6つのポルダーで観察されるとのことである。視察したポルダー32番(ポルダーには番号が付けられている)は周囲50キロほどで6万人が生活している。このポルダーの堤防復旧に関する最大の難所は250mの長さで水深20mほどの決壊をどう塞ぐか。各国援助機関は多少のお金を出しても技術は出さず、しかもこのような難しい場所への協力といったリスクはとらない。

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(被災した堤防の上で生活する人々、干潮時)

災害のストーリーは時間の経過とともに忘れられる傾向にあり、メディアは新たな悲劇及びその被害者数のカウントに躍起になる。こうした、被災後の応急対応が終わったあとの状況、復旧復興が進んでなくても忘れ去られていく人々の生活はなかなか手に入りにくいが誰かが伝えていかなくてはならない。

この被害になにができるかといった議論になった時に、もう既に一年以上も経っているとか、もともとこんな所に住んでいるのが悪いといった、そこに住まなければならない或いは住み続けなくてはならないというった社会的背景も考えず、途上国の問題を自業自得で片付けてしまう意見もあった。国際協力機構(JICA)は最近「なんとかしなきゃプロジェクト」というものを始めたらしいが、この「なんとかしなきゃ」という気持ちがないというのは日本人が国際社会の一員として、或いは国際社会に限らず他者と共存していく(いる)上で意識が非常に幼稚であるとしか思えない。もちろん「なんとかしなきゃ」の後になにもできないということは多々あるとは思うけれど。
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(かつての学校、干潮時。満潮時は柱の茶色い部分まで水没)


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